Asano Nobuharu
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窯焚き
久々にアトリエの窯を焚いた。
というか、今年の一月に窯が来て二回目の窯焚き。 本当は三月の末に焼く予定だったのだが、あの地震で予定が狂ってしまったのだ。 アトリエはめちゃめちゃだったので、新しく買った窯もダメだろう、と思ったが無事だった。 でも、窯の足下にハンガーが二つ引っかかっていたから、窯もあの揺れでジャンプしたらしい。 思わず「お前、よく無事だったなぁ」と語りかけてしまった。 その後も作品は作り続けたが、窯を焚くのは躊躇われた。 火をいれている最中にまたあの揺れが来たら、と考えると恐ろしかったからだ。 今回は、一月に展示があるので、やはり地震の恐怖もあったが、えいや!と窯に火を入れた。 そもそもジャンプした窯は無事だったのかも確認していなかったのだ。 昼に窯づめし電源を入れると、無事に温度は上がっていき、明け方に、窯は静かに1250度に達した。 あの地震で、作品になる前の乾いた土達の一部は、棚から落ち、物に押しつぶされて、達する事が出来なかった。 幸運にも形を失わなかった一部の土達が、九ヶ月遅れで1250度の世界を通り抜けて形を得たのだ。 窯の上にある時計は、ちょうど地震が起きた時間に止まったまま動いていない。 きっと、電池を差し直せば動き出すんだと思うのだけれど、なぜかそう出来ない。 直すキッカケを失ってしまったのだ。 でも、窯を焚いて、あの日に止まってしまった時間が動き始めた気がする。 チクチクチク(ピタリ)....チクチクチク また来週も窯を焚こう。 時計の電池を差し直そう。
by mongoru901
| 2011-12-19 08:07
| works
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